お役立ち情報 コラム 【ポイント解説】フリーエンジニアの契約トラブル解決方法と業務委託契約の注意点をエンジニア専任コンサルタントが解説

【ポイント解説】フリーエンジニアの契約トラブル解決方法と業務委託契約の注意点をエンジニア専任コンサルタントが解説

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仕事は大概、雇用主と案件受注する側で契約書が存在するもの。とくに契約社員やフリーランスで仕事をしている場合は、雇用期間の定めやなどを事細かに文書にしておくのが一般的です。

あるフリーランスエンジニアの方を例に挙げると、「3ヶ月間でお願いしますね」と、口約束で仕事を請けた時の話があります。いざ、プロジェクトが始まって1ヶ月間が経とうとした時に「今月末で依頼を停止します」と、突然契約終了を告げられたそうです。

この相談をくださったフリーランスエンジニアの方は、3ヶ月間の収入を想定していたために計画が崩れてしまい、案件獲得に慌ただしく走り回らなくてはならなくなってしまいました。

こういった契約トラブルは、多くのフリーランスエンジニアが経験しています。ですが、一方的に依頼主が悪いわけではありません。仕事を受けるエンジニア側も、自分が責任を負う以上は「何も対策していない…」「知らなかった…」では泣き寝入りすることになってしまいます。

そこで今回は、契約トラブルに巻き込まれてしまった時の解決策と、トラブルを未然に防ぐために業務委託契約書で見ておくべきポイントを10年以上エンジニアと依頼主の双方を見てきた我々フリーランスエンジニア専任コンサルタントが詳しく解説していきます。

既にある程度の対策をしてある方も、改めて明確に理解し直すことで、やり方を見直すきっかけとなれば幸いです。

業務委託契約の概要

業務委託契約書とは、企業に雇われるのではなく、企業や個人から業務の依頼を受ける契約方法のことです。具体的には、発注者(依頼主側)が、業務の実施を受注者(エンジニア側)に委託し、受注者がこれを承諾して、自己の裁量と責任により委託された業務を実施する場合に締結される契約書のことを指します。業務委託契約には、「請負契約」と「準委任契約」の契約形態があります。

業務委託契約の種類や詳細は以下の記事で詳しく解説しています。 >>フリーランス、業務委託、準委任、SESなど言葉の意味と違い

この業務委託契約によって起こる契約トラブルについて、多くの相談を受けます。それには原因があるのです。順に解説していきます。

フリーランスの立場が弱いことで起こる弊害

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引用:フリーランス白書2020「トラブル発生時の契約締結手段」(フリーランス協会)

フリーランスとして避けて通れないのが業務委託契約です。前述の通り、細かくは業務委託にも複数種類がありますが、業務委託全般に当てはまることを解説します。

まず、「フリーランス白書2020」によると、トラブル発生時の契約締結手段として「口頭で契約してしまう」と、フリーランスの2人に1人が回答しています。口頭で契約してしまう背景には、フリーランス(個人事業主)が法人(株式会社など)と比べて、社会的立場が弱いために「交渉を言い出しづらい」ことが根底にあります。

しかし、フリーランスは会社員とは異なり、自分を守らなければ誰も守ってくれません。守らなければならないにも関わらず対策していないのは、そのリスクが理解できていないためではないでしょうか。ですが、安心してください。契約トラブルは、事前にポイントを知って対策しておけば防げる問題ばかりです。

なぜ口頭で契約するとトラブルになるのか?

口頭で契約をしてしまうのは非常にリスクがあります。なぜなら条件が明確に可視化されていないため、どのような形でも改変が出来てしまうためです。よくある「言った、言わない」の問題です。

こちらの記事で解説しているように、フリーランスは労働基準法が適用されません。労働基準法第9条による労働者の定義にあてはまらないためです。

例えば発注者が、フリーランスに対し1日中働かないと終わらないような業務を依頼したとしても、最低賃金法が定める最低賃金を大きく下回るような業務を依頼したとしても、報酬さえ支払えば発注者が法律違反に問われることはありません。

報酬の支払いが数ヶ月先と言われても、作業のやり直しを追加報酬なしで命じられたとしても同様です。だからこそ、業務委託契約で明確に条件を記載して締結するのです。

契約書は難しくて気にしていないという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、必ず分からないままにしないことが大切です。依頼主に悪い印象を与えないように、曖昧にしてしまうのではなく、「契約トラブルを事前に対策すること」「契約トラブルが起こってから迅速に対処できる状態にしておくこと」で、トラブルを未然に防げるようにしていきましょう。

また、ビジネスだからこそ、曖昧にしない姿勢の方が信頼されます。自信を持って締結を進められるよう、ポイントを知っておいてください。他にもトラブルになるケースはいくつも存在します。具体的に見ていきましょう。

契約トラブル事例と対策

業務委託で仕事を受けることは、自由に働くことができるが故に注意点もあることを認識する必要があります。では、業務委託契約が可視化されていないことが原因で、よく相談をいただくトラブルを例に挙げて、それぞれの対策を解説します。

トラブル事例1:契約期間

「契約期間を曖昧にされて約束より早く取引が終了となった」

口頭で契約をしてしまい、よく有耶無耶にされて納得できないと相談を頂くことが多いのが「契約期間」についてです。会社員とは異なり雇用されているわけではないため、期間を明確にしておきましょう。

トラブル事例2:報酬条件

「報酬条件を満たしていなかったために報酬が貰えなかった」

契約に対する報酬がどの時期に何回に分けて、あるいは、どの時期に一括で支払われるのか、委託者側ときちんと確認し、共有しておくことが大切です。そうした確認事項を怠ったことによる、金銭のトラブルは後を絶ちません。

完了時に一括支払いが行われる、もしくは、着手時と完了時の2回に分けて支払われる、また、中間時も加わり3回に分けて支払われるというパターンがあります。しっかりと確認を行うようにしましょう。

「見栄を張って」または、「できると考えて」自分の能力以上の契約を結んでしまうことではないでしょうか。こちらも個人間の信用問題に大きく繋がります。

社会人として、フリーランスとして、ある程度自由な条件で働くとしても、契約に対しては誠実であるべきです。必ず、自分の能力に見合った契約をするようにしましょう。できそうになければ断ることも、時には大事なことです。

トラブル事例3:責任の所在

「修正範囲が曖昧で、何度も大幅な変更を依頼され数ヶ月が無駄となった」

フリーランスとして契約を交わす際には、責任の所在をはっきりとさせておくことが大切です。個人間で行う契約の際には、紙面に残しておくなど、特に注意が必要なのではないでしょうか。

仕事を行ううえで、信頼関係と責任問題は重要です。大きな団体が関わることの少ないフリーランスでは、個人の信用問題に関わりやすいといえるのではないでしょうか。

トラブル事例4:内容の把握不足

「契約内容の確認が不十分で、違法な契約のもとで働いていた」

契約内容は、必ず紙面で可視化した上で内容に問題ないかを確認してから契約を結びましょう。契約内容の確認不足によって、後々トラブルになったとしても自分の責任です。誰も助けてくれません。違法な条件で進めることは、あなたの信用問題にも繋がります。曖昧なままで締結するのは避けましょう。

ここまでで、契約内容を曖昧にしないことの重要性をお伝えしました。また、あなた自身を防ぐことにも繋がるとご理解いただけたはずです。しかし、「契約書を読んでも分からない」といった問題があります。ですので、次に契約トラブルを未然に防ぐために「業務委託契約書で確認すべきポイント」を解説していきます。

契約トラブルにならないために業務委託契約書で確認すべきポイント

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契約トラブルは、業務委託契約でどこを確認しておくかが分かっていれば未然に防ぐことが出来ます。自分の責任において自由に働けるからこそ、トラブルも未然に防ぐ対策が大切です。契約書で見るべきポイントは大まかに下記を注目して確認しましょう。

1、いつまでにするのか

2、なにをするのか

3、いくらの報酬なのか

4、いつ入金されるのか

5、なにで支払ってもらうのか

6、違法な内容になっていないか

7、一方的に不利な内容になっていないか

フリーランスで働くうえで、「業務委託契約」という表題にとらわれすぎて、違法な条件や不利な条件に気づかず働いていたというケースをここまでにお伝えしました。違法な条件にも関わらず、理解が乏しいことから、不利な状況で契約しまったといった問題は、未然に防がないと大変な思いをすることになりかねません。

仕事を早く受注したいからといって、契約を焦らず契約内容の細かなところにも気を配るようにしましょう。違法な条件や不利な条件に気づくためにも、最低限の法律的な視点を持って契約を締結するようにしましょう。

上述のポイントが契約書へ具体的に記載されていることを確認する以外にも注意点がありますので、順に解説していきます。

業務委託契約を締結する際の注意点

フリーランスエンジニアとして働くうえでかかせない「業務委託契約」ですが、結ぶ際には、いくつか注意すべきことがあります。

業務委託契約の注意点1:交通費の負担はどちらか

フリーランスの契約によって、委託料に交通費が含まれることもあれば、交通費関係の契約を別途設けるといったこともあります。これらの取り決めがあやふやであると、受託側の利益が大きく下がってしまうこともあり得ます。お互いの関係や不利益の防止のためにも、交通費に関した決め事は、フリーランスと企業との間できちんと認識を共有しておくようにしましょう。

業務委託契約の注意点2:二重派遣ではないか

二重派遣とは、派遣先の会社が「派遣されてきた人材を、別の会社へさらに派遣する状態」のことです。これは法律で禁止されていますが、よく見かけるケースです。もし、依頼主から別の会社で作業を行うようなことを求められた場合は、注意が必要です。そういった会社は、契約書を正確に記載せず「形式上だから」という理由で曖昧に済ませようとする場合があります。細部まで確認を怠らないようにしましょう。

業務委託契約の注意点3:ネット上で行うやりとりの確認

クラウドソーシングといった、オンライン経由で仕事を請け負う場合の契約方法は、対面以上に確認を細かく行うことが大切になります。仕事を請け負うエンジニア側だけでなく、依頼主側も匿名でやり取りが可能なため、契約を曖昧にする(される)ことがあります。また、オンライン上では、対面よりも認識統一がしづらい点でも注意が必要です。

依頼主との直接契約は契約トラブルになりやすいのか?

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契約トラブルに巻き込まれないために、注意するポイントを知って対策しておくことが大切だとお伝えしてきました。コストの面、命令系統のスムーズさだけを見れば依頼主との直接契約は魅力です。

自分だけで契約トラブルを防ぐことも可能ですが、他にもエージェント会社を挟むことでトラブルを防ぎやすい状態を作ることが可能です。なぜなら、依頼主と揉めた場合に、エージェント会社の担当者に仲裁してもらえば解決する場合もあるためです。

エージェントを挟むことは、案件獲得が楽になること以外にも大きな魅力があるということです。それが、トラブル負担の軽減、情報入手、キャリアサポート、資金繰りサポートなどです。案件成約時にマージンが発生する代わりに、それ以上の価値を提供するべく各エージェント会社は、サポートに工夫を凝らしているのです。

エージェント会社という第三者が関わっていることは、依頼主にとっても、エンジニア側にとっても、不正を行いにくい体制になります。我々エンジニア専任コンサルタントが見てきた中でも、この体制によって安心して進められたというケースは多く存在します。

契約時のトラブルリスクを軽減できるエージェント

エージェントといっても各社方針が異なります。案件数が多い、単価が高いような場合でも、案件をひたすら送ってくるだけのところではなく、相性を考慮してくれたり、営業代行以外のメリットなど、サポートが充実しているところを重視して探してみてください。

求人サイトのように応募しなければ何も進まないものとは異なり、エージェントが担当につくことで仕事の獲得以外にも大きな価値があります。それが、トラブル回避、資金繰りサポートです。

資金繰りサポートについては以下の記事で詳しく解説しています。

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引用:フリーランス白書2020「業務委託契約時のトラブル経験」(フリーランス協会)

「契約を口頭でしてしまった」などのリスク管理の甘さから、フリーランスの2人に1人が「トラブルを経験したことがある」と回答しています。直接企業との契約をする場合には、紹介などが多くなりがちです。すると、つい油断して口頭で契約してしまい後日トラブルとなったケースで、我々は何度もご相談を受けています。

このように、エージェントを利用することは、様々なトラブルからあなたを守ることに繋がるという点でも大きな価値があるのです。

トラブルの他にも後悔しないための方法を以下の記事で詳しく解説しています。

>>【人材会社が解説】フリーランスエンジニアで後悔しない方法

まとめ

契約書の確認すべきポイントを自分だけで解決していくことも大切ですが、エージェントを上手く活用することも大きな助けとなってくれるはずです。営業活動を代行してもらい開発に専念することで時間の確保が可能です。それだけではありません。トラブル回避といった面から、エージェントサービスを活用することで、あなたが安心して開発を進めていけるサポートが可能です。

我々の提供するエージェントサービス「フリエン」においても、ここまでにお伝えしたような条件交渉といった案件獲得の面だけでなく、トラブル回避、資金繰りサポートにも力を入れています。エージェントサービスの価値を知って、上手く活用してみてください。

エージェントサービスについては以下の記事で詳しく解説しています。 >>フリーランスエンジニアのエージェントなんて全部同じ?いいえ違います。その理由を解説します

開発案件は、下記ページで随時公開しています。 >>IT案件・求人を探す|「フリエン」新着案件一覧

関連記事:>>フリーランスは労働基準法で保護されない! その理由と気をつけたいポイントを解説!

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