お役立ち情報 コラム フリーランスと業務委託は同じ?契約の種類と意味の違いをエンジニア専任コンサルタントが解説

フリーランスと業務委託は同じ?契約の種類と意味の違いをエンジニア専任コンサルタントが解説

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働き方の多様化によって「正社員雇用」だけでなく「フリーランス」も一般的になってきました。さらに、外出自粛の影響でオンライン化、DX化が加速し、ソフトウェア開発などのIT関連を得意とするエンジニア需要も増えています。ですが、「フリーランス」や「業務委託」といった言葉だけが普及し、明確な違いまでは分からないといった場合が多いのではないでしょうか。

この記事では、フリーランスと業務委託の違い・意味について、エージェントサービスを提供しながらエンジニア専任コンサルタントとして、エンジニアと依頼主の双方を10年以上に渡りサポートしてきた我々の視点から、注意すべきポイントを交えてフリーランスエンジニアに関連した詳細な内容を解説していきます。

1 フリーランスと業務委託の違い

フリーランスと名乗っていたとしても、多くの方が「フリーランスと業務委託は同じ」と認識しているのではないでしょうか。フリーランスは「働き方」であり、業務委託は「契約の種類」です。それぞれの定義を調べてみると下記のように記載されています。

1.1 フリーランスの定義

「フリーランス」とは、企業など組織や団体に属さず、個人で仕事を請け負う「働き方」のことを言います。

“引用:自由契約者。一定の会社や団体などに所属せず、仕事に応じて自由に契約するジャーナリストや俳優・歌手など。フリー。フリーランサー。”

(引用:フリーランスとは(コトバンク)) 

“引用:「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すこととする。”

(引用:フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(厚生労働省)

関連記事:フリーランスに定義はない!?傭兵という由来から徹底解説!

 では、業務委託についても見ていきましょう。

1.2 業務委託の定義

「業務委託」とは、企業(依頼側)がフリーランスなど(請負側)に業務を委託し、請負側が依頼された業務を行うことによって報酬を得る契約のことです。

組織内部で行っていた業務を外部に任せること.一般に,外注は含まれるが,派遣労働者による業務処理は除く

(引用:業務委託とは(コトバンク)

このように、「フリーランス」が働き方を指すのに対し、「業務委託」は契約形態を指すため、同じだと認識されがちですが正しく使い分けると良いでしょう。

フリーランスの方の中には、口頭で契約してしまいトラブルに巻き込まれるケースが頻発しています。注意点などを解説していますので、詳しくは以下の記事をご覧ください。

>>フリーランスの約4割が口頭で契約。あなたは正しく契約締結していますか?

また、業務委託には「請負」「委任」「準委任」で内容が変わります。それぞれの詳細を順に解説していきます。

2 業務委託契約の種類(「請負」「委任」「準委任」契約の違い)

業務委託契約といっても、大きく2種類に分けられます。業務委託にあたる契約について、民法では『請負と委任(準委任)のいずれかに該当する』と規定しています。

前述したように、フリーランスは案件ごとに条件が変わるため契約内容を必ず把握して、契約に沿って進める必要があります。まずは、下記に請負と委任、準委任について表にまとめましたのでご紹介します。

2.1 請負契約

「請負契約(うけおいけいやく)」とは、決められた納期内に指定の成果物を納品する事によって、報酬が支払われるといった契約になります。つまり、「業務を完了させて完成したもの」と引き換えに報酬が支払われます。契約を完遂するための条件となるのは、基本的に期限と成果物の納品です。そのため、働く場所、働く時間といった条件はフリーランスエンジニア(請負側)が、自由に決められます。

例えば、システム開発を請け負い、在宅だけで開発を進めて、自宅から一歩も出ずに納品まで終わらせることも可能です。成果物の納品を期限内に行う必要があるため、バグが発生したり個人的なこだわりを出しすぎてしまうと、必要以上に時間が掛かります。この結果、時給換算した時に最低賃金にすら満たないようなことにもなります。

納品トラブルはフリーランスエンジニアにとっては致命的な問題です。詳しくは以下の記事で解説しています。

>>信頼は「納品トラブル」で崩壊する!納期に遅れるエンジニアの共通点と対策を解説します

2.2 委任契約(委任契約・準委任契約)

「委任契約(いにんけいやく)」とは、委任契約と準委任契約の2つに分けられます。これらの契約は、成果物を納品する義務はありません。専門家として業務遂行自体に報酬が発生する契約を「委任契約」と呼びます。そのため、請負契約に比べると責任は軽くなりやすい場合が多いですが、案件により変わってくるため契約内容を必ず確認することは忘れないでください。

委任契約と準委任契約の違いとしては、法律に関わる事柄を委任されるのが委任契約、そうでないものが準委任契約(じゅんいにんけいやく)です。委託内容が法律行為に該当する場合を「委任」、それ以外の業務を「準委任」と呼びます。

委任契約では、受託者に「善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)」が発生し、業務遂行にあたって細心の注意を払うことが義務付けられています。

善管注意義務

「善管注意義務」とは、民法に定められている「善良な管理者の注意義務」の略で、以下の内容を意味します。

業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。注意義務を怠り、履行遅滞・不完全履行・履行不能などに至る場合は民法上過失があると見なされ、状況に応じて損害賠償や契約解除などが可能となる。

(引用:善管注意義務(コトバンク)

◆民法第644条の条文

受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

ここまでにお伝えした契約形態を基本として、再委託というものも存在します。詳しく見ていきましょう。

2.3 再委託が発生する場合の注意点

「再委託(さいいたく)」とは、業務委託で請けた業務を自社では行わず、別の事業者(フリーランス含む)に業務を委託(請負、準委任どちらも含む)することを指します。フリーランスエンジニアとして案件が増えてくると、あなたから別のエンジニアへ業務を委託することもあるでしょう。この場合は、まず依頼主との契約で再委託が禁止されていないかを確認してから進める必要があります。

民法の原則では、請負契約であれば再委託は原則自由だとされています。しかし準委任契約の場合は、依頼主の承諾かやむを得ない事由が必要になります。

◆民法第644条の2

1.受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。

2.代理権を付与する委任において、受任者が代理権を有する復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対してその権限の範囲内において、受任者と同一の権利を有し、義務を負う。

再委託が必要な際は、依頼主との契約書を確認してトラブルにならないように注意しましょう。

関連記事:【ポイント解説】フリーエンジニアの契約トラブル解決方法と業務委託契約の注意点をエンジニア専任コンサルタントが解説

3 派遣と業務委託の違い

派遣の場合は、派遣法に則り派遣元企業と雇用契約を必ず結ぶ必要があります。雇用契約を結んでいなければ派遣ではありません。

では、なぜ「派遣」と呼ぶ方がいるのでしょうか。一つには準委任契約が派遣同様、時間に対する対価を支払う契約であることが挙げられます。受け入れている現場の方の中には法律や契約の違いを正しく認識できておらず準委任契約で参画する方を派遣の方と同様に考えてしまうケースもあるようです。

ここまでで、フリーランスと業務委託の基本的な違いを解説しました。実際のところ、フリーランスの実態はどうなのか?については以下の記事で詳しく解説しています。

>>【実は厳しい】フリーランスエンジニアの実態とは?

では、ここからはフリーランスエンジニアのことを具体的に解説していきます。

4 フリーランスエンジニアの働き方

会社員は毎月固定の時期に決まった収入を得られますが、フリーランスエンジニアの報酬は案件によって変わります。また、その報酬がいつ支払われるかについてなどの条件面も様々です。そのため、各案件の依頼内容や入金時期といった契約内容を必ず把握しておく必要があります。

また、会社員はオフィスに通勤するスタイルが一般的ですが、フリーランスは案件ごとに条件が変わるため通勤せず自宅で仕事を進めることも可能です。成果物の納品が依頼条件の場合は、好きな場所で好きな時間だけ働ける点でメリットではないでしょうか。

 フリーランスエンジニアには、常駐型とリモート型で大きく2種類の働き方が存在します。詳細は以下の記事で解説しています。

>>フリーランスエンジニアの末路は闇なのか?エージェント側の視点で解説

ここまでに、「フリーランス」という働き方のメリットに軽く触れましたが、もちろんデメリットも存在しています。フリーランスエンジニアで後悔しないための詳細や、陥りやすいことを先に把握して対策しておくことも重要ではないでしょうか。

後悔しないための詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

>>【人材会社が解説】フリーランスエンジニアで後悔しない方法

陥りやすいことを先に把握して対策することについては、以下の記事で詳しく解説しています。

>>【人材会社が解説】実務経験が1~3年くらいのフリーランスエンジニアが陥りやすいこと

次に、フリーランスエンジニアで働く上での注意点にも触れておきます。

5 フリーランスエンジニアの注意点

前述の通り、”成果物の納品”が依頼内容として定められている場合には注意が必要です。それは、依頼された開発の納品まで責任を持つ必要があるため、完成させられる実力と計画通りに進められるスケジュール管理能力が求められるということです。依頼主との信頼関係を崩さないためにも、取り決めた期日までに納品物を仕上げることが非常に大切です。

 関連記事:在宅フリーランスエンジニアになるための必須条件とは?人材会社が詳しく解説

フリーランスは、良くも悪くもすべて自己責任だからこそ自由を手にできる働き方といえます。フリーランスが自由であるからこそ、自分の身を自分で守ることも必要です。だからこそ、業務委託契約のトラブルを解決する方法も事前に知っておくことも大切です。

ここまででフリーランスエンジニアの契約形態や働き方を解説しました。他にも、SESといった業界特有の表現がありますので、補足として解説していきます。

6 SES(システムエンジニアリングサービス)の意味

ITに特化した話になりますが、ITエンジニアがベンダー経由でプロジェクトに参画することをSES(システムエンジニアリングサービス)と呼びます。依頼主企業とベンダーが、業務委託契約(準委任契約)を締結し、ベンダーが依頼主企業へITエンジニアを派遣することを意味します。 

SES(システムエンジニアリングサービス)は、システムなどの開発・保守・運用における委託契約の一種です。SES契約では、ITエンジニアを客先のオフィスに常駐派遣して、技術的なサービスを提供します。

「SES」という言葉はフリーランスだけではなく、企業の正社員が「準委任契約」でプロジェクトに参画する場合にも使われます。もともと「SES」という言葉はリソースの足らないITプロジェクトに対して、スキルのあるIT人材を「業務委託契約」で供給していくビジネスモデルのことを指す業界用語です。契約の種類は、業務委託の中の「準委任契約」に該当します。 

6.1 SES(システムエンジニアリングサービス)と派遣の違い

上述を見ると派遣とほとんど同じだと思ったかもしれません。SES契約と派遣契約の違いは、指揮命令権の所在です。顧客からの指示で動く派遣契約とは異なり、SES契約における指揮命令権は雇用企業にあります。このため、SES契約でありながら、実態として顧客の指示で動いていた場合、違法な偽装請負とみなされます。

6.2 SES契約(準委任契約)の見分け方

SES契約は、指揮命令権を依頼主企業ではなく雇用企業が持っています。フリーランスとして契約していく時に、自分の結んでいる契約がSES(準委任)なのかを判断する基準を以下に挙げて見ます。

※正社員の方のSESは除く

1、契約先と業務委託契約もしくは準委任契約の基本契約書を結んでいる。

2、成果物が作業報告書(作業時間を記載しているもの)になっている。

上記の2点が揃っていれば、自分の契約はSES(準委任)契約であるということになります。また、ITフリーランス業界では「エージェント」と呼ばれる企業は再委託を行っている場合があります。法律的には問題ありませんが、現場からみるとエージェント経由の準委任のフリーランスは再委託先となる為、再委託という言葉を使っていることが多くあります。 

7 まとめ

フリーランスと業務委託の違いや、フリーランスとして働く場合のエンジニアについてを網羅的に解説しました。契約形態にも種類があり、請負、準委任、SESなどの意味や違いも知っていただけたはずです。ぜひ、自分に合った案件を見極めるための参考にしてください。

もし、見極める案件を探す時に「営業活動」に不安を感じることがあれば、エージェントの活用も検討してみてはいかがでしょうか。フリエンを運営するアン・コンサルティング株式会社は、フリーランスエンジニア専門のエージェントです。案件のご紹介はもちろん、条件交渉やキャリアサポートだけでなく、独自の付帯サービスによって、フリーランスエンジニアの方たちを専任コンサルタントの我々が強固に支援しています。

関連記事:フリーランスエンジニアは、「営業ができないと食べていけない」そう思っていませんか?

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