コラム一覧 フリーランスの約4割が口頭で契約。あなたは正しく契約締結していますか?

フリーランスの約4割が口頭で契約。あなたは正しく契約締結していますか?

フリーランスエンジニアとして案件を受注する時に、避けて通れないのが契約締結業務。フリーランスエンジニアと依頼主がお互い安心してプロジェクトを行うために、欠かせない業務の一つです。

しかし、フリーランス白書2020によると、フリーランスの約4割が契約書を書面で締結していないことが明らかになったのです。また同データによると、フリーランスで働く人の約半数が何らかの契約トラブルを起こしています。

当たり前ですが、依頼主、フリーランスエンジニア両方ともトラブルは未然に防ぎたいはずです。ではなぜフリーランスで働く人は契約書を書面で締結しないのでしょうか。

今回はフリーランスならではの法務事情について、10年間フリーランスエンジニアを見てきたエージェントならではの視点で解説していきます。

そもそも契約書は書面で締結しなくてはいけないのか

ではまず、契約書がなぜ存在するのかについて解説していきます。意外と知られていないのですが、依頼主側と案件を受ける側で契約書を結ぶことは義務付けられておりません。その理由は、民法第522条(契約の成立と方式)によって明文化されております。またこの民法522条は2020年4月に改正されたばかりですので、改めて契約成立要件は抑えておきましょう。

民法第522条(契約の成立と方式)

1.契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。) に対して相手方が承諾をしたときに成立する。

2.契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない

重要な箇所は下線を引かせていただきましたが、契約は「書面の有無に限らず、申し込みに対して、相手が承諾した場合」に成立します。 

結構[「当たり前なのでは、、」と思われますが、ここで重要なのは契約書などの形式よりも申し込みと承諾の有無が重要視される、ということ。わかりにくいかと思いますので具体例で説明します。

●契約トラブルの具体例

8/1:依頼主側と案件を受ける側で業務委託契約書を締結。最低契約期間を3ヶ月に設定。

8/7:依頼主側が案件を受ける側に対して、最低契約期間を1ヶ月にしたいと交渉。交渉はSNSのチャット機能で行われ、案件を受ける側はチャットで承諾した。

8/23:依頼主側が案件を受ける側に対して、解約申請をSNSのチャット上で連絡。案件を受ける側はチャットで承諾した事実を忘れており、契約書には「最低契約期間は3ヶ月」と記載があるので解約できないと依頼主側に連絡。

かなりよくある解約トラブルです。この場合、法的効力が強いのは契約書のように思われますが、新民法522条の契約成立要件では、形式よりも「申し込みと承諾の有無」が優先されるため、申し込みと承諾の有無がチャット機能に残っていたら、契約は上書きされます。

このように「契約はどの形式で締結したのか」はさほど重要ではないのです。この新民法522条から読み取れるのは、それよりも双方が曖昧さを残さずに申し込みと承諾のエビデンスを残しておくことを重要視しています。あくまでも契約書はその手段でしかないのです。

「エビデンスくらい誰もが残しているのでは、、」と思うかもしれませんが、フリーランス白書2020のデータによると、フリーランスで契約トラブルを起こした人のうち、45%は「口頭」で契約を成立させていたそうです。「双方に信頼があるから口約束でも大丈夫」という油断は案外フリーランスでもよくあることなのです。

なぜフリーランスは契約書の締結をしないのか

では次にフリーランスエンジニアならではの法務事情について解説していきます。前述した通りフリーランスで働く人は、契約書の締結を行わないで案件に取り組むことが多いのですが、そもそもなぜ危険だとわかっているのにも関わらず契約書を締結しないのでしょうか。

当社がフリーランスエンジニアの方と関わる上でわかった理由は下記の2つです。

1,人脈・紹介経由の案件なので契約締結の必要性を感じていない 2,すり合わせ事項が多岐に渡るため契約締結が面倒

それでは具体的に解説していきましょう。

人脈・紹介経由の案件なので契約締結の必要性を感じていない

1つ目の理由は「契約書の必要性」を感じていないケース。フリーランス白書2020のデータによると、フリーランスが直近1年間で仕事獲得に繋がったチャネルの73%は「人脈・紹介」からだったようです。

フリーランスは自分で案件獲得に向けて動く必要があるため、人脈・紹介からの受注が多いのは納得ではないでしょうか。しかし、契約トラブルが頻繁に起こりやすいのも「人脈・紹介」からなのです。その理由は単純で「信頼関係」で受注してしまうから。具体的にどのようなことが起こっているのでしょうか。

契約トラブルは些細な認識齟齬から生まれる

一件、信頼関係で案件受注できるのは素晴らしいことのように思えますが、契約トラブルはお互いが想像もしていない、曖昧な部分から起こります。よくある契約トラブルが下記の3パターン。

・クオリティの認識に大きな齟齬があった ・納期の認識に大きな齟齬があった ・支払いがいつされるのか齟齬があった

その中でも特に怖いのが「クオリティ」の認識齟齬。具体例を合わせて解説していきましょう。

納品に値するクオリティは人によって異なる

それではよくあるケースをご紹介します。

「8月中にアプリをローンチしても恥ずかしくないレベルで実装してください。まずはローンチを優先させ、残りはユーザーの反応をみてアジャイルで完成させていきましょう。」                                         

上記の例は、初めて規事業に挑戦したい企業、スタートアップのシード期、などによくあるパターン。見るからに危ない匂いが漂いますが、人脈・紹介案件だとこのような依頼でも契約書を締結しないケースは存在します。

ではこの依頼で危険なのはどの点でしょう。箇条書きで表すとこのような内容かと思います。

・「ローンチしても恥ずかしくないレベル」とはどのレベル感なのか。 ・納品の定義は何か。何が実装できたら納品とみなされるのか。 ・納品月はいつになるのか。アジャイルで完成とあるが、アプリが完成されない限り、請求書発行できないのか。 ・ユーザーの反応を見るのは、依頼主か、それとも受注者か。

上記の全てに共通するのが、曖昧さが存在するところにこそ落とし穴がある、ということ。フリーランス白書2020には契約トラブル原因について言及しているのですが、そのほとんどが上記に挙げたような内容です。

そして人脈・紹介案件の場合、非常に怖いのが、その曖昧さを「信頼関係」という点でカバーしようとします。

もし「ローンチしても恥ずかしくないレベル」の認識が大幅にずれていて納期に間に合わなかったとしたら。もし9月ローンチに向けて、株主や顧客に向けたプレスリリースの準備をすでに進めていたとしたら。今までの信頼関係はなくなりますし、損害賠償問題にまで発展してもおかしくはありません。

すり合わせ事項が多岐に渡るため契約締結が面倒

次に契約書を結ばないケースで多いのが、「すり合わせ事項が多い」という理由。もしフリーランスエンジニアが個人で案件受注する際にすり合わせが必要な項目は、どのような内容が挙げられるでしょう。考えつくところでは下記の内容かと思います。

・給与(月額〇〇円等) ・支払いサイト ・支払い遅延による利息・損害賠償 ・納品定義(何を実装したら給与が支払われるのか) ・責任の所在 ・損害賠償規定 ・機密保持・競業阻止規規定

他にも厳密に契約書を結ぼうとすれば、いくらでも挙げられますが、大まかに挙げると上記の内容かと思います。ここでも一番お伝えしたいのが、それぞれの項目に曖昧さが存在するということ。特に怖いのが納品定義と責任の所在。

具体的には下記のような例。

「業務範囲がサイトデザイン、コーディング、サーバーアップまでだったが、依頼主側がサーバー契約の知見がなかったため、サーバー管理の部分まで手伝ってしまったところ、プレスリリース当日にサーバートラブルが起きてしまい、プレスリリースに間に合わなかった。」

いちいち契約書を結んでいたら間に合わないのも頷けますし、良心によって責任領域範囲外の仕事をしてしまう可能性もあるでしょう。

しかしこの場合、たとえ責任範囲を超えていたとしても、民法709条の「不法行為」に該当してしまうため、依頼主側は損害賠償請求をする権利が生じます。(明らかに故意・過失がない場合はこの限りではありません。)

このようにフリーランスエンジニアの案件では、少しの良心が命取りになるケースも充分存在します。

書面の有無限らず、曖昧さを残さないことが重要

以上、今回はフリーランスエンジニア特有の契約事情について解説していきました。フリーランスエンジニアで最も重要なのは依頼主との信頼関係であることは、言うまでもございません。ですが、いくら信頼関係があったとしても、法律トラブルは誰もが想像もしていないところで起こります。

トラブルの他にも後悔しないための方法を以下の記事で詳しく解説しています。 >>【人材会社が解説】フリーランスエンジニアで後悔しない方法

そこでぜひご検討いただきたいのが、案件交渉をプロにお任せすること。本来、フリーランスエンジニアはコードを書いたり、プロジェクトの要件定義を考えたりするお仕事ですが、何かの拍子に法律トラブルを起こしてしまうと、その対応に追われてしまい、やるべき仕事に時間が割けなくなってしまいます。

そのリスクを軽減してくれるのが「フリエン」のような営業代行サービス。案件紹介はもちろんのこと、フリーランスで働く人が苦手視するような法律・ファイナンス・会計周りのサポートも充実しています。今回のような契約トラブルはもちろんのこと、よくある未払いトラブルの弁護士保証も検討可能です。

フリーランスエンジニアは組織に属しません。ただでさえ1人で抱えがちなのです。その結果、本来求めていた「自由」が失われたら元も子もないでしょう。そんな時は「フリエン」に相談してみてはいかがでしょうか。

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