フリーランスエンジニアは準備が全て。正社員からフリーランスエンジニアなる上で抑えておきたいポイントを解説
2021.10.19
弊社では様々なエンジニアの方とお会いする機会が多いのですが、ある程度実力がついてきたタイミングでお話いただくのが、正社員からフリーランスエンジニアへ転向するべきか、独立するべきかというご相談です。
本来独立するべきか否かは、エンジニアさんのキャリアビジョンや性格、スキルなどにもよるので一概には言えませんが、独立する上で必ず必要なことがございます。
それは独立する前に「正しい準備をしておくこと」です。弊社では様々なフリーランスエンジニアの方とキャリアについてお話するのですが、着実に成長を重ねて収入がアップしているフリーランスエンジニアは、独立する前からかなり綿密に準備をしている印象です。
ではどのような準備をするべきなのでしょうか。今回は10年間フリーランスエンジニアのエージェントをしてきた当社が、フリーランスエンジニアが独立する前にしておくべき準備について解説していきたいと思います。
先に結論としてお伝えしておくと、ちゃんと正しい準備を重ねて、ある程度実力がついている状態であれば、フリーランスエンジニアとして独立することはさほど大きなリスクではありません。もし独立するか悩んでいるエンジニアの方はぜひご一読いただけますと幸いです。
最も大切なのは、「自分の時間を増やす」こと
それではフリーランスエンジニアとして独立する前にしておくべき準備について解説させていただきます。先にフリーランスエンジニアで収入アップを目指す上で最も大切な考え方をお伝えします。それは「自分の時間を増やすこと」です。具体的に解説していきましょう。
まず前提として弊社では、正社員からフリーランスの違いとして最も大きいのは、「業務とは別に経営をする必要があること」だと考えております。
例えば正社員の場合、会社から目標や仕事が降りてきて、業務を行い、その対価として毎月お給料が振り込まれます。またその後の税金・労務対応も所属している経理担当が賄ってくれるケースがほとんどです。
反対にフリーランスの場合は、自ら目標を立てて仕事を探さないといけません。もちろん案件獲得がうまく行かなかったら、正社員とは違い毎月お給料は入りません。そしていただいたお給料から確定申告や労務処理(社会保険・年金)などを自ら支払う必要もございます。
何が言いたいのかというと、正社員からフリーランスエンジニアになる上でほとんどの人が「正社員時代と同じ働き方をしてしまって、自分の時間が取れなくなってしまった」という壁にぶつかるのです。せっかく自由を求めてフリーランスエンジニアを志したのに、これでは勿体無いですよね。
ですので正社員からフリーランスエンジニアに転向する上でまず考えていただきたいのが、下記の2つです。
1.自分の仕事を定義する
2.自分の仕事以外を整理する
弊社ではフリーランスエンジニアなる前に、あらかじめこの3つを考慮しておくと成功確率が上がると考えております。ではそれぞれ具体的に解説していきましょう。
1.自分の仕事を定義する
初めに重要なのは「自分の仕事を定義する」ことです。当たり前ですがエンジニアの仕事は言語・業種・役割などによって多岐に渡ります。まずは今までの経歴をみていただき、過去・現在・未来の時間軸で整理いただくことをお勧めします。
正社員時代はどんな言語・役割を担当していましたか?
まずは過去パートです。なぜ過去を整理する必要があるのかというと、フリーランスエンジニアとして営業する上で必須になるからです。これはエージェントを活用する、友人からご紹介を受ける、自ら交流会に趣き案件を受注する場合など、どの場面でも必須になります。
ではどのように整理するのがお勧めでしょうか。弊社ではスキルシートを書いてみることをお勧めします。実際の書き方に関しては下記の記事で解説しているので、この記事を読み終わった後に読んでみてください。ひな型もついておりますのでこちらもご参考していただけると幸いです。
スキルシートを記載するコツですが、担当した業務だけを記載するのではなく、事実に対してどんな成果が生まれたのか、貢献度はどれくらいだったのか、そこから何を学んだのか、まで整理すると非常に有効です。独立する前にスキルシートとしっかり向き合うと、自ら営業や商談する時に脳内が整理されて、かなり営業しやすくなった、というお話はよく聞きまます。
想定年収を上げるプランを描いておきましょう。
次に重要なのは過去・現在を把握した後に、想定収入を上げるためのプランを考えることです。やはりフリーランスエンジニアとして働くのであれば年収は上げたいですよね。では将来年収を上げるためにどんな準備をすると良いのでしょうか。
一言でお伝えすると、自分の性格と照らし合わせてどのスキルを伸ばしていきたいのか、を意識すると良いでしょう。
例えばフリーランスエンジニアさんにはこのような場合が多いです。
・正直社内コミュニケーションは苦手だけど黙々と勉強するのは得意。なので言語やフレームワークの習得は全然苦ではない。
⇨この場合は下記の記事を読んでいただくとさらに理解が深まります。
>>現役フリーランスに聞いた!稼ぐエンジニアが実践する効率的な学習方法
・言語の勉強というよりもみんなで何かを作ることに楽しみを感じる。もちろん信頼を得るために言語学習は必要だが、要件定義や組織マネジメントにも興味がある。
⇨この場合は下記の記事を読んでいただくとさらに理解が深まります。
>>現役フリーランスエンジニアに聞いた!「市場価値を高めるプロジェクト経験」を身に付けるステップ
今回は極端な例を挙げさせていただきましたが、上記の具体例のように、エンジニアさんの性格・志向によって進むべきキャリアは異なるのはお分かりいただけたかと思います。
また「どの言語を学ぶのか」も、エンジニアの性格が出るのです。
・せっかく学ぶのであれば年収が高い言語を学びたい。新しい物好きで希少性が高い言語にも興味がある。
⇨この場合は下記の記事を読んでいただくとさらに理解が深まります。
>>フリーランスエンジニアはどの言語を学ぶのが良い?高単価につながりやすい言語と、それに伴うリスクを解説
・フリーランスエンジニアとして自由と安定の両方を追い求めたい。家庭があり食いっぱぐれるのも困るので定期的に案件が来てくれた方が助かる。
⇨この場合は下記の記事を読んでいただくとさらに理解が深まります。
>>フリーランスエンジニアが食いっぱぐれない言語を見極める方法を人材会社が解説します
このように将来どんな言語を学んでみたいのか、どんなエンジニアとして生きていきたいのかによって想定年収も大きく異なるのです。またここでお伝えしておきたいのが、想定年収を上げることが人生の全てではない、ということ。
フリーランスエンジニアさんの中でも様々な性格の人がいらっしゃいます。例えば時間が許す限り勉強をして高年収を稼ぐことを生きがいにするエンジニアさんもいますし、家庭を第一優先にして、フリーランスエンジニアとして自由で安定的な生活を望みたい、という方もいます。
このように、過去・現在・未来を整理して日頃頑張っていく業務こそが、この記事の頭で述べた「自分の仕事」であり、「自分の時間」です。例えば年収をアップさせるために得意先とのコミュニケーションを増やしたい、言語の学習を行ったり、制作するプロダクトの要件を整理するなどが本来フリーランスエンジニアがやるべき仕事でしょう。
実際に整理してみると非常に楽しいと思いますのでぜひやってみてください。また年収アップの秘訣に関しては下記の記事でもまとめておりますので、お時間あったらぜひ読んでみることをお勧めします。
>>【エンジニア必見!】フリーランスエンジニアが年収を上げるために大切なことを専門エージェントが全てまとめました。
2.自分の仕事以外を整理する
自分の仕事が定義できたところで次に行っていただきたいのが、自分の仕事以外を整理することです。振り返りになりますが前段では自分の仕事は下記の内容と解説させていただきました。
・自分が望むライフプランを実現させるために、、
・得意先と向き合う時間
・制作するプロダクトと向き合う時間
・自ら学習する時間
ではこの時間を奪ってしまうものは何なのでしょうか。弊社では、時間を奪ってしまう要因は「想定外のトラブル」です。
どれも共通するのが「事前に対策しておけば必ず防げる」という点です。ですが正社員からフリーランスエンジニアなる方は、上記のトラブルに非常に弱い印象です。これは今まで正社員で働いてきた訳ですから、苦手視するのも当たり前です。
ではどのように対策すれば良いのでしょうか。具体的に解説していきます。自分の時間を守ためにも必ず必須ですのでぜひ読んでみてください。
納品・法律トラブルが多い3パターン
「フリーランス白書2020」によると、企業との業務契約において、取引上のトラブルを経験したことがあるというフリーランスの方は、約半数にも及ぶ結果が得られました。
出典:フリーランス白書2020「業務委託契約時のトラブル経験」(フリーランス協会)
同様にフリーランス白書2020によると、トラブルの割合で最も多いのは「支払い遅延」によるトラブルであると結論付けています。せっかく懸命に働いたのにも関わらず、想定していた給与が振り込まれない、などありましたら生活ができないですよね。また反対のケースもあります。もし得意先の仕事内容が想定よりも多く、想定納期に間に合わない可能性が出てしまったらどうすれば良いでしょう。ではトラブルが多い3パターンについて解説させていただきます。
1.納品したのに給与が支払われなかった
まず最も多いトラブルである支払い遅延についてご紹介させていただきます。まず支払い遅延を考える上で大切なのは下記の2点です。
・どうやったら支払い遅延を起こさず業務ができるか。
・支払い遅延が起きた場合どうするべきか。
どうやったら支払い遅延を起こさず業務ができるか。
ではどうしたら支払い遅延を未然に防げるのでしょうか。最も重要なのは業務委託契約書をしっかり締結することです。「えっ当たり前じゃん。。」と思った方は要注意です。実はフリーランス白書2020によると、フリーランスの約4割が契約書を書面で締結していないことが明らかになったのです。ではなぜフリーランスは契約書を結ばないのか、については下記の記事で解説しておりますのでぜひ読んでみてください。
>>フリーランスの約4割が口頭で契約。あなたは正しく契約締結していますか?
支払い遅延が起きた場合どうするべきか。
また契約書を結んでいる場合でも、期間や損害賠償などしっかり読み込むことが重要です。こちらも詳しく下記の記事で詳しく解説しておりますのでぜひ読んでみてください。
>>【ポイント解説】フリーエンジニアの契約トラブル解決方法と業務委託契約の注意点をエンジニア専任コンサルタントが解説
2.納品が間に合わなくて得意先と揉めてしまった
次に対策しておきたいのが、納品が間に合わないパターンに関して。できるだけ避けたいところではありますが、途中で仕様書が変更になったり、想定していなかった作業が発生するなど、フリーランスエンジニアでは納品に間に合わない可能性が常に潜んでいます。
意外かと思いますが、納品が間に合わなくなってしまうエンジニアにはある程度共通点があります。弊社なりにまとめてみると下記の5つです。
1、スケジュールを確認していない
2、間に合うギリギリまで着手しない
3、効率化・自動化をしていない
4、依頼主の無茶な要求に応えてしまう
5、実力以上の案件を受けている
これらの共通点からお伝えしたいのが、「自分の実力を適切に把握して、トラブルが起きる前に事前に相談する」ことです。かなり棘のある言い方ですが、大体はエンジニアさん自身が持っているプライドが邪魔をするケースが多いのです。こちらも詳しくは下記の記事でまとめておりますので気になる方はぜひ読んでみてください。
>>信頼は「納品トラブル」で崩壊する!納期に遅れるエンジニアの共通点と対策を解説します
3.機密保持情報で揉めてしまった
最後にお伝えしたいのは機密保持トラブルに関してです。ではなぜ機密保持トラブルについて知っておく必要があるのでしょうか。
結論からお伝えすると、機密保持情報の定義が曖昧だと、情報が漏れてしまった場合の損害賠償がとても大きくなる可能性を秘めているからです。
これはどの業種にも言えるのですが、特にエンジニアは、会社の基幹システムやサーバー情報、アプリ設計情報など、会社にとって重要な情報を扱う職種です。もし情報・ノウハウが流出して、競合サービスが乱立したら、売り上げにも影響が出てしまいます。
ですのでもし個人で契約する際は機密保持契約書はマストで結ぶようにしましょう。機密保持契約書の結び方に関しては下記の記事でまとめておりますので気になる方は読んでみてください。
>>フリーランスエンジニアだからこそ意識したい、機密保持契約書の確認ポイント
3.自分の時間を増やすのに迷ったら
以上、フリーランスエンジニアが独立する前にしておくべき準備について解説させていただきました。ここまで他にもファイナンスや労務なども準備できると良いですが、そこまで準備したい方は下記の記事も合わせて読んでみてください。ここまで準備ができていると、かなり安定した状態でフリーランスエンジニア生活を謳歌できるでしょう。
>>フリーランスエンジニアが入れる社会保険とは?社会保険を事前に勉強しておこう
>>お金周りに強いフリーランスエンジニアが無敵である理由を説明します
しかし、自分の仕事を客観視するのは非常に難しいですよね。そこでお勧めしたいのは「フリエン」のような営業代行サービス。キャリア設計はもちろんのこと、フリーランスエンジニアが苦手視しやすい法律トラブルやファイナンスに関しても相談可能です。
フリーランスエンジニアは業務上、1人で不安を抱えがちな傾向があります。この不安は周りに打ち明けると非常に楽になりますので、もしフリーランスエンジニアに詳しい人にアドバイスが欲しいのであればいつでもご連絡お待ちしております。
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