お役立ち情報 コラム フリーランスエンジニアこそ下請法を知っておこう。トラブルを未然に防ぐために重要なこととは

フリーランスエンジニアこそ下請法を知っておこう。トラブルを未然に防ぐために重要なこととは

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最近当社ではフリーランスエンジニアになりたいという方の問い合わせが増えておりますが、ご相談いただく内容として多いのが、フリーランスならではの契約トラブルに関してです。正社員や派遣社員の時は、ご自身で契約書のやりとりなどは存在しなかったと思われますが、フリーランスとして案件獲得をする際は、ご自身で契約書を締結しないといけません。

しかしフリーランスの方々は、本業ではない”契約ごと”に慣れているわけではないため、依頼主企業との契約トラブルに見舞われる機会も少なくないと言えます。実際にフリーランス白書2020のデータを見てみると、フリーランスとして働く方々の約50%が、何かしらの契約トラブルを経験していると発表されています。

そういった背景もあり昨今では、独占禁止法をはじめ、フリーランスを守るための法整備も充実してきました。その中でも重要なのが「下請法」という法律です。フリーランスとして働いていると耳にする機会もあるかと思いますが、実はフリーランスエンジニアこそしっかり内容を把握すべき法律の1つであると言えるでしょう。

その理由はなぜか。今回は「下請法」について解説していきたいと思います。

フリーランスエンジニアだからこそ怖い契約トラブル

では下請法について解説する前に、なぜフリーランスエンジニアは下請法をしっかり把握しておくべきなのか、について解説していきます。

先に結論からお伝えすると、ある程度能力のついたフリーランスエンジニアが狙う「大手企業案件」「メガベンチャー案件」ほど、法律トラブルが起きた場合、下請法が守ってくれる可能性が高いからです。では具体的に解説していきましょう。

自ら高単価案件を受注する落とし穴

フリーランスエンジニアとして様々な案件を取捨選択する上で気になるのが、ざっくり下記の内容かと思われます。

・案件単価(月額いくらの案件か)

・納期(開発にどれくらいの余裕があるのか)

・案件難易度(どのポジションでどんな言語を扱い、どんな役割を求められるのか)

上記3点の中で皆さんが特に気になるのが「案件単価」かと思います。この案件単価は主に「エンジニアの希少性」と「依頼主のニーズ」によって決まりますが、基本的に案件単価が上がれば上がるほど、開発難易度が高くなっていく傾向にあります。(もちろん扱う言語にもよりますので、例外もあります)

詳しくは下記の記事でまとめておりますので、気になる方はぜひ読んでみてください。

>>フリーランスエンジニアはどの言語を学ぶのが良い?高単価につながりやすい言語と、それに伴うリスクを解説

「案件単価」つまり「報酬」を確実に得ようとする上で、問題になるのが契約前のすり合わせです。何かしらの理由で与えられた納期を守れなくなった場合や、仕様書の変更が相次ぎ、依頼主が望むような納品物が提供できなかった場合など、依頼主企業からは「契約不履行」というレッテルを貼られ、フリーランスエンジニアは依頼主と合意したはずの報酬金額をきちんと支払ってもらえないというリスクが潜んでいます。

これが企業対企業のやり取りでであれば話は別ですが、個人で活動するフリーランスエンジニアの場合、報酬未払いのリスクは直接ご自身の財務状況に跳ね返ってきます。そのような状況下の中、納品トラブルによって数ヶ月給与が入らなくなったら、生活していくのもかなり厳しいですよね。

下請法で知っておいた方が良いこととは

こういったトラブルはフリーランスエンジニアに限らず、様々な業種で存在します。そこで日本では昭和31年から「下請代金支払遅延等防止法」、通称「下請法」が制定されました。下請法は中小企業庁・公正取引委員会の管轄下に置かれ、元請事業者と下請業者の関係によって生じる「下請けいじめ」を防ぎ、取引の円滑化を促すことを目的としています。この下請法は法人はもちろんのこと、フリーランス(個人事業主)だとしても適用されます。

では下請法の何を知っておいた方が良いのでしょうか。主に下記の内容を知っておくと今後に役立ちます。

・法律の適用範囲

・元請事業者の義務

・元請事業者の禁止行為

それでは順を追って解説させていただきます。

下請法の適用範囲

下請法の適応範囲ですが主に下記の場合に限られます。

出典:下請代金支払遅延等防止法(中小企業庁)

フリーランスエンジニアの場合、納品物が「情報成果物」にあたりますし、資本金が5,000万円を超えるのは相当なレアケースかと思いますので、基本的には資本金1,000万円以上の元請事業者が対象となると考えていただければ問題ありません。

特にフリーランスエンジニアの場合、月間50万円~150万円の単価感が多いのですので、元請事業者が下請法の対象になりやすい傾向にあるのです。フリーランスエンジニアこそ下請法を把握しておいた方が良い、とお伝えした理由はそこにあります。

フリーランス白書2020のデータによると、フリーランスが案件を受注する経路の約7割が人脈・紹介と言われています。

また資本金が高い、大手企業やメガベンチャー、ユニコーン企業でもフリーランスの人脈・紹介は盛んに行われているため、トラブルに備えて覚えておくと便利でしょう。

元請事業者の義務

次に覚えておくと良いのが元請事業者の義務に関してです。下請法によると元請事業者は下記の義務を追っています。

・書面の交付義務

・支払期日を定める義務

・取引の内容を記載した書類を作成・2年間保存する義務

・支払が遅延した場合は遅延利息を支払う義務

仮に元請事業者がフリーランスエンジニアに対し、書面を交付せず納品トラブル訴訟が起きた場合、元請事業者は罰則を受けます。実際に公正取引委員会のデータによると、「令和2年では、357社の親事業者へ立入検査等を行い、うち291社の親事業者に対し、改善指導を行った」と述べています。

もし契約段階で元請業者と書面の締結を行わず、そのまま案件参画を求められるような場合は、依頼主企業が下請法に抵触している可能性があるため、特に注意すべきでしょう。

元請事業者の禁止行為

3つ目にお伝えするのが、元請事業者の禁止行為に関してですが、こちらは下請法によると下記の禁止行為を制定しています。

出典:親事業者の禁止行為(公正取引委員会)

こちらの禁止行為が公正取引委員会に伝わると、違反行為に関する勧告がなされます。(下請法7条)特にフリーランスで多いのが「支払い遅延トラブル」や「下請代金の減額」です。また、フリーランスエンジニアならではの仕事でいうと、「依頼範囲外の仕事を押し付けられた」「納品物を受け取ってくれない」という事象も下請法の対象になります。

もし依頼主の依頼内容が下請法対象だと思ったら

しかし、いくら元請事業者が下請法に違反していると思ったところで、フリーランスエンジニア側が訴えないと意味がありません。そこで中小企業庁は、中小企業・フリーランスなどの悩みに対応するべく、平成20年4月から財団法人全国中小企業取引振興協会(現在:公益財団法人全国中小企業振興機関協会)と全国47都道府県下請企業振興協会に下請かけこみ寺を設置しました。

下請かけこみ寺では、元請事業者と下請事業者で起きる取引上の悩みに対して、相談員・弁護士が受け付けてくれます。相談環境も充実しており、無料相談・秘密厳守はもちろんのこと、匿名相談も可能です。相談方法も電話以外にオンライン面談・対面面談など様々な方法がありますので、もし元請事業者との契約内容に困っている場合は、一度お問い合わせしてみることをお勧めします。

>>下請駆け込み寺へアクセスする

もしトラブル自体を起こしたくなかったら

以上、下請法に関して解説させていただきました。フリーランスエンジニアは業務性質上、納品物が明確に存在しますし、他の業種と比べても高単価案件になりやすいため、下請法に適応する場合が非常に多く存在します。

しかし最も理想的なのは、トラブル自体を起こさないことではないでしょうか。ではどうやったらトラブルを起こさないような働き方ができるのか。その一つの選択肢として、案件獲得のプロフェッショナルにお願いする方法です。

ご自身で営業活動を行っているフリーランスエンジニアの場合、開発要件や納期、報酬の支払い期日、契約内容など、受注前にすり合わせる内容が非常に多くあります。開発の仕事に専念したいのに「なぜか営業ばっかりしている…」「契約トラブルに見舞われすぎていてコードを書く時間が奪わられている…」というフリーランスエンジニアの悩みもよく伺います。

そのリスクを軽減してくれるのが「フリエン」のような営業代行サービス。案件紹介はもちろんのこと、フリーランスで働く人が苦手視するような法律・ファイナンス・会計周りのご相談も可能です。今回のような契約トラブルはもちろんのこと、よくある未払いトラブルの弁護士保証も検討可能です。

フリーランスエンジニアは組織に属しません。ただでさえ1人で抱えがちなのです。その結果、本来求めていた「自由」が失われたら元も子もないでしょう。そんな時は「フリエン」に相談してみてはいかがでしょうか。

>>フリエンでカウンセラーに相談する。

※新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、フリエンを運営するアン・コンサルティング株式会社では、WEB(Googlemeet、Zoomなど)ならびにお電話によるご面談(カウンセリング)をご案内差し上げております。

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