2016.11.16インフラ
JP1/AJSのセットアップ方法とよく聞く4つのトラブルの対処法

JP1とは、日立製作所が開発した日立オープンミドルウェアシリーズの1つです。「総合システム運用管理ツール」に位置付けられており日本国内のシェアは約27%もありトップクラスのシェア率です。2016年1月には最新バージョンも登場しています。JP1の機能の中で「ジョブ管理システム」として使用できるAJS3というものがあります。今回は、このJP1/AJSに着目して、セットアップ方法とよく聞くトラブルの対処方法をご紹介していきます。
【目次】
■JP1/AJSとは|基本情報と5つのメリット
◆JP1とは
◆AJSはオートメーション機能
◆JP1/AJSの3つのプログラム構成
◆JP1/AJSを使用する5つのメリット
■JP1/AJSのセットアップ方法
◆JP1/AJS - Managerのセットアップ手順
◆JP1/AJS - Agentのセットアップ手順
◆JP1/AJS - Viewのセットアップ手順
◆セットアップ時に使用するコマンド
■JP1/AJSでよく聞くトラブルと対処方法
◆ジョブ動作環境関係のトラブル
◆ジョブ実行環境関係のトラブル
◆組み込みDB関係のトラブル
◆Windows限定のトラブル
■まとめ
日立オープンミドルウェアシリーズの中には、Cosminexus(統合システム構築基盤)やOpenTP1(オンライントランザクション処理ソフトウェア)、COBOL2002(ビジネスアプリケーション環境開発)、Groupmax(グループウェア)などが存在します。JP1(総合システム運用管理ツール)も日立オープンミドルウェアシリーズの1つです。冒頭でも軽くご紹介しましたが、もう少し掘り下げてJP1についてご紹介いたします。
・オートメーション
オートメーションは「ジョブ管理システム」として使用出来ます。他にも、IT運用自動化やバックアップ管理など、システム全体を動かすために必要です。オートメーションに含まれるものは、JP1/AJS3、JP1/AO、JP1/DHなどがあります。
・モニタリング
モニタリングは「集中監視ツール」として使用出来ます。統合管理やITサービス管理、ぱどーマンス管理、ネットワーク管理などが出来、システムを止めないために必要です。モニタリングに含まれるものは、JP1/IM、 JP1/PFM、 JP1/NNMiなどがあります。
・コンプライアンス
コンプライアンスは「セキュリティの強化や環境管理の効率化を図る」ことが出来ます。仮想デスクトップやスマートデバイスなどにも対応しており、資産・配布管理やセキュリティ管理など資産を守るために必要です。コンプライアンスに含まれるものは、JP1/ITDM2、JP1/秘文などがあります。
STEP1.ジョブの実行順序をフローチャートを書くように定義
STEP2.定義したスケジュールに沿ってジョブを自動実行
STEP3.業務の実行状況を把握し、異常終了している業務を見つけるなどの監視
詳しくは、日立グループの公式ページをご参照ください。
・JP1/AJS – Manager
ジョブネットやスケジュールの定義を保存し、ジョブネットの実行を管理するプログラムです。
・JP1/AJS - Agent
ジョブを実行するためのプログラムです。
・JP1/AJS - View
GUIを使ってJP1/AJSを操作するためのプログラムです。
上記の3つのプログラムとは別に、JP1/AJS3の前提製品でユーザー権限を管理する「JP1/Base」もあります。
・ジョブ定義情報の収集・変更・反映の効率化
JP1/AJSの特徴でもあり、ジョブ定義情報の収集・変更・反映などのジョブ変更時の作業をExcelを利用した効率化が図れます。
・画面上のジョブ情報を報告書として利用可能
画面上のジョブ情報を出力して紙面で確認したり、報告書として使用することが可能です。ファイル形式も、CSV、Excel、PDFと用途に応じて選択することも出来ます。
・スケジュール管理や容易
実行する時間帯や実行間隔と言ったルールを組み合わせたうえでスケジュール設定が出来るため、多種多様な業務運営に支障が出ないスケジュール管理を行うことが出来ます。
・必要業務を自動化できる
必要な業務を自動化できるため、深夜や休日などの勤務時間外の負担を減らすことが出来ます。
・コストの削減
休日や深夜業務を自動化することにより、人件費の削減や作業コストが削減出来ます。
JP1/AJSのセットアップの前に、先にJP1/AJS3の前提製品でユーザー権限を管理する「JP1/Base」が必要になります。JP1/Baseのセットアップ方法は、「JP1/Automatic Job Management System 3 入門」の記事をご参照ください。JP1/AJSを使用する際には、JP1/AJSの3つのプログラム構成をセットアップする必要があります。簡単に、それぞれのセットアップの手順をご紹介します。
2. JP1/AJS – Managerのインストール
3. JP1/Baseで、承認サーバ・ユーザー登録・権限レベル・ユーザーマッピング・イベントサービス環境を設定
4. JP1/AJS – Managerでサービスアカウント・実行エージェントの設定
5. JP1/AJS – Managerで必要に応じて環境設定パラメーターの変更
2. JP1/AJS - Agentのインストール
3. JP1/Baseで、使用する承認サーバ・ユーザーマッピング・イベントサービス環境を設定
4. JP1/AJS – Agentでサービスアカウントの設定
5. JP1/AJS – Agentで必要に応じて環境設定パラメーターの変更
2.HNTRLib2(統合トレースログ機能)を起動
3.セットアップしたJP1/AJSシステムをバックアップする
4.運用開始
上記の一連の流れを詳しく知りたい方は、「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1」をご参考ください。

上記のコマンド一覧の中にもある、「jp1ajs2_setup_cluster」「jpqreguser」「jpqregguestuser」の3つは、JP1/Baseを前提とするJP1シリーズの製品の稼働中にコマンド実行しないようご注意ください。正常に動かない場合があります。
JP1/Baseのセットアップが出来ていないか、クラスタ運用のためのセットアップで指定した論理ホスト名が不適切な可能性が高いため、JP1/Baseを再セットアップするか、クラスタ運用のためのセットアップで「jpqimport」コマンドに「-mh」オプションとともに論理ホスト名を必ず指定してみてください。
・「KAVU5950-E 同じ識別子またはオブジェクト名が指定されています(行番号)」と出る場合
QUEUEジョブ、jpqsetup.confファイル中のエージェント定義、キュー定義、排他実行リソース定義が不適切な可能性が高いため、内容を再度確認し、修正後にJP1/AJS3を再セットアップしてください。
QUEUEジョブ、サブミットジョブの実行環境データベースが正しく作成されていない可能性が高いです。「jpqimport」コマンドでQUEUEジョブ、ブミットジョブの実行環境データベースを作成してください。
・「KAVU5284-E システム資源が不足しています(要因個所)」と出る場合
JP1/AJS3の運用に必要なシステム資源が不足している可能性がありますので、システム資源の見積もりを確認後、JP1/AJS3を再起動してください。
・「KAVU1203-E エージェントプロセス起動に失敗しました(要因番号:12)」もしくは「KAVU1204-E マネージャープロセス起動に失敗しました(要因番号:12)」と出る場合
メモリーが不足しています。メモリーの見積もりを見直し、不要なアプリケーションを停止した後にJP1/AJS3サービスを再起動してください。
・「KAVU1103-I 同じ論理ホスト(論理ホスト名)上でプロセス監視モニターが起動中です」や「KAVU4111-E 同じ論理ホスト(論理ホスト名)上でキューイング制御もしくはjpqimportコマンドが起動中です」、「KAVS0500-E スケジューラーサービスは既に開始しています」と出る場合
JP1/AJS3サービスが異常終了しています。Windows、UNIX系の対処が違いますのでご注意ください。
【Windowsの場合】
物理ホストおよび論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止後、スクマネージャーでJP1/AJS3のプロセスが残っていないか確認してください。プロセスが残っている場合は、タスクマネージャーから強制終了するか、システムの再起動が必要です。
【UNIX系の場合】
物理ホストのJP1/AJS3サービスが起動できない場合は、物理ホストおよび論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止し後、psコマンドを実行してプロセスが残っていないか確認してください。プロセスが残っている場合は、killコマンドで強制終了が必要です。
論理ホストのJP1/AJS3サービスが起動できない場合は、起動できない論理ホストに対してjajs_killall.clusterコマンドを実行し、残っているプロセスを強制終了する必要があります。
・メモリーやディスク容量が不足していないか
・データベースのアクセスに失敗していないか
・同じ名称のキューがないか
・エージェントの数が最大定義数に達していないか
・マネージャーホストに接続できないという通信障害が起きていないか
・イベント・アクション制御マネージャープロセスが起動しているか
・エージェントを追加できるアクセス権限があるか
この7つのどれかが出来ていないと、エラーが発生する可能性が高いため、事前に気を付けてミスを防いでください。また、既存のエージェントホストで障害が発生した場合は、QUEUEジョブ・サブミットジョブの実行環境の構成を定義し、新しいエージェントを使用出来るようにしてください。
組み込みDBのインストールまたは、再セットアップを行ってください。
・「システム定義に誤りがある」などのメッセージが出る場合
メッセージに参考定義が表示されますので、システム定義を修正してください。
・「メモリー不足」「ファイル容量が不足」などのメッセージが出る場合
不要なプロセスの停止、不要ファイルの削除を行うと共に、システム定義を見直してください。
・「OSの構成が組み込みDBの実行環境として不適当です」と出る場合
OSを見直し、構築し直してください。
・「現用のシステムログファイルを割り当てられません」と出る場合
「ajsembdbaddlog」コマンドでシステムログファイルを追加する必要があります。
1.ajsembdbstartコマンドに-rオプションを指定し、組み込みDBを開始
2.ajsembdbrstrコマンドで、システム領域を回復
3.ajsembdbstopコマンドで、組み込みDBを終了
4.ajsembdbstartコマンドで、組み込みDBを開始
5.ajsembdbrstrコマンドで、トラブルが起こったRDエリアを回復
上記の手順でシステム領域を回復する必要があります。
・「ログを追加してシングルサーバ定義を編集したら、再開始に失敗しました」と出る場合
ajsembdbstartコマンドに-Rオプションを指定して実行してみてください。
プロファイルを作成するために、「jpomailprof」コマンドに-addオプションを指定して実行してください。
・SMTPサーバとの通信に失敗してしまう
JP1/AJS3 - Viewの「実行結果詳細」ダイアログボックスで、メッセージKAVT3825-Eが出力されていないか確認する必要があります。出力されている場合は、プロファイルへのアクセスに失敗しているので、実行ユーザーのアクセス権限を確認してください。
・メール送信ジョブが実行中のままでメールの送受信が出来ない場合
「実際に作成したプロファイルの名称」と「メール送信ジョブに指定したプロファイルの名称」が同じであるかを確認してください。全角半角・大文字小文字が違うだけで区別されてしまいます。もしくは、メールサーバが起動しているか確認してください。
・メール送信ジョブが正常終了しているのにメールが届かない場合
メールの宛先が正しいか、ジョブの定義内容をP1/AJS3 – Viewで確認し、修正してください。もしくはSMTPサーバのログを確認し、通信経路か受信側の問題のある方を必要に応じて対処してください。
・メール送信ジョブを強制終了したのにtelsmail.exeプロセスが残ってしまう場合
続行中の処理が完了するまで一定時間残る場合があります。タスクマネージャーやタスクリストなどでtelsmail.exeプロセスが残っている場合は、手動で終了してください。
Windowsのスタートメニューからコントロールパネルを開き、「メール」アイコンを選択してください。プロファイルを作成するためのダイアログボックスが表示されますので、必要な設定を行ってください。
・プロファイルが正しく作成できない場合
Outlook 2003、Outlook 2007、もしくは32ビット版のOutlook 2010がインストールされているか確認してください。
・メール送信ジョブ、メール受信監視ジョブが意図どおり動作しない場合
1.Outlookが起動出来る事を確認
2.Outlookがシステム規定の電子メールとして設定されているか確認
3.Outlookでメールの送受信が出来る事を確認
4. Outlook起動時およびメールの送受信時にダイアログボックスが表示されないか確認
※表示される場合は、プロファイルの設定を見直してください
上記の手順でトラブルが解消されます。Outlook 2007もしくはOutlook 2003の場合は、起動後のOutlookのウィンドウにツールバーが表示されていることを確認する必要があります。
・メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブが異常終了するエラーコードが表示される場合
下記の一覧より原因を調査し、対応してください。

・送信したメールが送信済トレイに入らず送信トレイに入ったまま、もしくは到着しているはずのメールが受信トレイに入らない場合
Outlook単体でメールの送受信が出来るかの確認。単体で動作しない場合は、プロファイルの設定内容とメールサーバの接続状態を確認してください。
その他のトラブルに関しては、日立の「JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング」をご参考ください。
今回のコラムでご紹介したトラブルが対応できるようになれば、トラブルシューティングとして仕事の幅も広がし、収入アップのチャンスでもありますので、手始めに覚えやすいものから勉強してみてください。少しでも参考になれば幸いです。
【目次】
■JP1/AJSとは|基本情報と5つのメリット
◆JP1とは
◆AJSはオートメーション機能
◆JP1/AJSの3つのプログラム構成
◆JP1/AJSを使用する5つのメリット
■JP1/AJSのセットアップ方法
◆JP1/AJS - Managerのセットアップ手順
◆JP1/AJS - Agentのセットアップ手順
◆JP1/AJS - Viewのセットアップ手順
◆セットアップ時に使用するコマンド
■JP1/AJSでよく聞くトラブルと対処方法
◆ジョブ動作環境関係のトラブル
◆ジョブ実行環境関係のトラブル
◆組み込みDB関係のトラブル
◆Windows限定のトラブル
■まとめ
JP1/AJSとは|基本情報と5つのメリット

JP1とは
JP1とは、1994年に日立製作所が開発した日立オープンミドルウェアシリーズの1つで、「総合システム運用管理ツール」です。日本国内では約27%の高いシェアがあり、2016年1月に最新バージョンが発表されるなど、現在も使用され続けています。WindowsやUNIX、LinuxといったOSに対応しており、1台から数千台までの様々な規模のシステムに導入・拡張することが出来ます。また、「効率的な運用」、「確かな信頼」、「さらなる安全」をユーザーに対する3つの価値として掲げています。JP1の3つの分野
JP1には「オートメーション」、「モニタリング」、「コンプライアンス」の3つの分野が存在します。・オートメーション
オートメーションは「ジョブ管理システム」として使用出来ます。他にも、IT運用自動化やバックアップ管理など、システム全体を動かすために必要です。オートメーションに含まれるものは、JP1/AJS3、JP1/AO、JP1/DHなどがあります。
・モニタリング
モニタリングは「集中監視ツール」として使用出来ます。統合管理やITサービス管理、ぱどーマンス管理、ネットワーク管理などが出来、システムを止めないために必要です。モニタリングに含まれるものは、JP1/IM、 JP1/PFM、 JP1/NNMiなどがあります。
・コンプライアンス
コンプライアンスは「セキュリティの強化や環境管理の効率化を図る」ことが出来ます。仮想デスクトップやスマートデバイスなどにも対応しており、資産・配布管理やセキュリティ管理など資産を守るために必要です。コンプライアンスに含まれるものは、JP1/ITDM2、JP1/秘文などがあります。
AJSはオートメーション機能
JP1/AJS3は、オートメーション機能の1つであり、Automatic Job Management Systemの略です。業務を決められた順序かつスケジュール通りに自動実行する「ジョブ管理システム」として使用出来ます。JP1/AJSの運用の流れ
JP1/AJSの運用の流れは大きく分けて3つのステップに分けることが出来ます。STEP1.ジョブの実行順序をフローチャートを書くように定義
STEP2.定義したスケジュールに沿ってジョブを自動実行
STEP3.業務の実行状況を把握し、異常終了している業務を見つけるなどの監視
詳しくは、日立グループの公式ページをご参照ください。
JP1/AJSの3つのプログラム構成
JP1/AJSは、システム運用の各作業をジョブとして扱います。ジョブは、コマンド、シェルスクリプト、バッチファイルなどの集まりに対応します。そして、ジョブの実行順序を関連付けたものをジョブネットと呼びます。JP1/AJSはジョブを管理するため、大きく3つのプログラムで構成されています。・JP1/AJS – Manager
ジョブネットやスケジュールの定義を保存し、ジョブネットの実行を管理するプログラムです。
・JP1/AJS - Agent
ジョブを実行するためのプログラムです。
・JP1/AJS - View
GUIを使ってJP1/AJSを操作するためのプログラムです。
上記の3つのプログラムとは別に、JP1/AJS3の前提製品でユーザー権限を管理する「JP1/Base」もあります。
JP1/AJSを使用する5つのメリット
JP1/AJSを導入する5つのメリットをご紹介します。・ジョブ定義情報の収集・変更・反映の効率化
JP1/AJSの特徴でもあり、ジョブ定義情報の収集・変更・反映などのジョブ変更時の作業をExcelを利用した効率化が図れます。
・画面上のジョブ情報を報告書として利用可能
画面上のジョブ情報を出力して紙面で確認したり、報告書として使用することが可能です。ファイル形式も、CSV、Excel、PDFと用途に応じて選択することも出来ます。
・スケジュール管理や容易
実行する時間帯や実行間隔と言ったルールを組み合わせたうえでスケジュール設定が出来るため、多種多様な業務運営に支障が出ないスケジュール管理を行うことが出来ます。
・必要業務を自動化できる
必要な業務を自動化できるため、深夜や休日などの勤務時間外の負担を減らすことが出来ます。
・コストの削減
休日や深夜業務を自動化することにより、人件費の削減や作業コストが削減出来ます。
JP1/AJSのセットアップ方法

JP1/AJS - Managerのセットアップ手順
1. JP1/Baseのインストール2. JP1/AJS – Managerのインストール
3. JP1/Baseで、承認サーバ・ユーザー登録・権限レベル・ユーザーマッピング・イベントサービス環境を設定
4. JP1/AJS – Managerでサービスアカウント・実行エージェントの設定
5. JP1/AJS – Managerで必要に応じて環境設定パラメーターの変更
JP1/AJS - Agentのセットアップ手順
1. JP1/Baseのインストール2. JP1/AJS - Agentのインストール
3. JP1/Baseで、使用する承認サーバ・ユーザーマッピング・イベントサービス環境を設定
4. JP1/AJS – Agentでサービスアカウントの設定
5. JP1/AJS – Agentで必要に応じて環境設定パラメーターの変更
JP1/AJS –Viewのセットアップ手順
1. JP1/AJS –Viewのインストール2.HNTRLib2(統合トレースログ機能)を起動
3.セットアップしたJP1/AJSシステムをバックアップする
4.運用開始
上記の一連の流れを詳しく知りたい方は、「JP1/Automatic Job Management System 3 構築ガイド1」をご参考ください。
セットアップ時に使用するコマンド

上記のコマンド一覧の中にもある、「jp1ajs2_setup_cluster」「jpqreguser」「jpqregguestuser」の3つは、JP1/Baseを前提とするJP1シリーズの製品の稼働中にコマンド実行しないようご注意ください。正常に動かない場合があります。
JP1/AJSでよく聞くトラブルと対処方法

ジョブ動作環境関係のトラブル
JP1/AJS3のセットアップが正常に終了しないトラブル
・「KAVU5921-E 環境設定が不正かもしくは論理ホスト名が不正です」と出る場合JP1/Baseのセットアップが出来ていないか、クラスタ運用のためのセットアップで指定した論理ホスト名が不適切な可能性が高いため、JP1/Baseを再セットアップするか、クラスタ運用のためのセットアップで「jpqimport」コマンドに「-mh」オプションとともに論理ホスト名を必ず指定してみてください。
・「KAVU5950-E 同じ識別子またはオブジェクト名が指定されています(行番号)」と出る場合
QUEUEジョブ、jpqsetup.confファイル中のエージェント定義、キュー定義、排他実行リソース定義が不適切な可能性が高いため、内容を再度確認し、修正後にJP1/AJS3を再セットアップしてください。
JP1/AJS3のサービスが起動しないトラブル
・「KAVU5285-E データベーステーブルがないかシステム資源が不足しています(要因個所)」と出る場合QUEUEジョブ、サブミットジョブの実行環境データベースが正しく作成されていない可能性が高いです。「jpqimport」コマンドでQUEUEジョブ、ブミットジョブの実行環境データベースを作成してください。
・「KAVU5284-E システム資源が不足しています(要因個所)」と出る場合
JP1/AJS3の運用に必要なシステム資源が不足している可能性がありますので、システム資源の見積もりを確認後、JP1/AJS3を再起動してください。
・「KAVU1203-E エージェントプロセス起動に失敗しました(要因番号:12)」もしくは「KAVU1204-E マネージャープロセス起動に失敗しました(要因番号:12)」と出る場合
メモリーが不足しています。メモリーの見積もりを見直し、不要なアプリケーションを停止した後にJP1/AJS3サービスを再起動してください。
・「KAVU1103-I 同じ論理ホスト(論理ホスト名)上でプロセス監視モニターが起動中です」や「KAVU4111-E 同じ論理ホスト(論理ホスト名)上でキューイング制御もしくはjpqimportコマンドが起動中です」、「KAVS0500-E スケジューラーサービスは既に開始しています」と出る場合
JP1/AJS3サービスが異常終了しています。Windows、UNIX系の対処が違いますのでご注意ください。
【Windowsの場合】
物理ホストおよび論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止後、スクマネージャーでJP1/AJS3のプロセスが残っていないか確認してください。プロセスが残っている場合は、タスクマネージャーから強制終了するか、システムの再起動が必要です。
【UNIX系の場合】
物理ホストのJP1/AJS3サービスが起動できない場合は、物理ホストおよび論理ホストのJP1/AJS3サービスを停止し後、psコマンドを実行してプロセスが残っていないか確認してください。プロセスが残っている場合は、killコマンドで強制終了が必要です。
論理ホストのJP1/AJS3サービスが起動できない場合は、起動できない論理ホストに対してjajs_killall.clusterコマンドを実行し、残っているプロセスを強制終了する必要があります。
JP1/AJS3のサービスの起動に時間が掛かる場合
認証サーバが起動したあとに,JP1/AJS3を起動してください。JP1/AJS3が正常に動作しない場合
スタンバイ状態、レジューム状態、サスペンド状態などの状態になっていないか確認してください。システムの日時を変更した場合は、マニュアル通りの手順で変更しているか再確認してください。IPv6アドレスでの通信で異常が発生する場合
マネージャーホストでJP1/AJS3サービスが起動しない場合は、IPv4・IPv6ホストであるか確認してください。IPv6アドレスで通信できない場合は、jp1pingコマンドを実行して接続先のホストとの接続を確認してください。ジョブ実行環境関係のトラブル
事前に下記の7つの項目内容を確認してください。・メモリーやディスク容量が不足していないか
・データベースのアクセスに失敗していないか
・同じ名称のキューがないか
・エージェントの数が最大定義数に達していないか
・マネージャーホストに接続できないという通信障害が起きていないか
・イベント・アクション制御マネージャープロセスが起動しているか
・エージェントを追加できるアクセス権限があるか
この7つのどれかが出来ていないと、エラーが発生する可能性が高いため、事前に気を付けてミスを防いでください。また、既存のエージェントホストで障害が発生した場合は、QUEUEジョブ・サブミットジョブの実行環境の構成を定義し、新しいエージェントを使用出来るようにしてください。
組み込みDB関係のトラブル
組み込みDBが正常開始できないトラブル
・組み込みDBがインストール出来ていない、もしくは正しくセットアップされていない組み込みDBのインストールまたは、再セットアップを行ってください。
・「システム定義に誤りがある」などのメッセージが出る場合
メッセージに参考定義が表示されますので、システム定義を修正してください。
・「メモリー不足」「ファイル容量が不足」などのメッセージが出る場合
不要なプロセスの停止、不要ファイルの削除を行うと共に、システム定義を見直してください。
・「OSの構成が組み込みDBの実行環境として不適当です」と出る場合
OSを見直し、構築し直してください。
・「現用のシステムログファイルを割り当てられません」と出る場合
「ajsembdbaddlog」コマンドでシステムログファイルを追加する必要があります。
組み込みDBが再開始できないトラブル
・マスタディレクトリ用RDエリアにトラブルが起こったため、組み込みDBを再開始出来ない1.ajsembdbstartコマンドに-rオプションを指定し、組み込みDBを開始
2.ajsembdbrstrコマンドで、システム領域を回復
3.ajsembdbstopコマンドで、組み込みDBを終了
4.ajsembdbstartコマンドで、組み込みDBを開始
5.ajsembdbrstrコマンドで、トラブルが起こったRDエリアを回復
上記の手順でシステム領域を回復する必要があります。
・「ログを追加してシングルサーバ定義を編集したら、再開始に失敗しました」と出る場合
ajsembdbstartコマンドに-Rオプションを指定して実行してみてください。
Windows限定のメールシステム連携のトラブル
Outlookを使用しない場合のメール送信ジョブのトラブル
・プロファイルの作成方法が不明プロファイルを作成するために、「jpomailprof」コマンドに-addオプションを指定して実行してください。
・SMTPサーバとの通信に失敗してしまう
JP1/AJS3 - Viewの「実行結果詳細」ダイアログボックスで、メッセージKAVT3825-Eが出力されていないか確認する必要があります。出力されている場合は、プロファイルへのアクセスに失敗しているので、実行ユーザーのアクセス権限を確認してください。
・メール送信ジョブが実行中のままでメールの送受信が出来ない場合
「実際に作成したプロファイルの名称」と「メール送信ジョブに指定したプロファイルの名称」が同じであるかを確認してください。全角半角・大文字小文字が違うだけで区別されてしまいます。もしくは、メールサーバが起動しているか確認してください。
・メール送信ジョブが正常終了しているのにメールが届かない場合
メールの宛先が正しいか、ジョブの定義内容をP1/AJS3 – Viewで確認し、修正してください。もしくはSMTPサーバのログを確認し、通信経路か受信側の問題のある方を必要に応じて対処してください。
・メール送信ジョブを強制終了したのにtelsmail.exeプロセスが残ってしまう場合
続行中の処理が完了するまで一定時間残る場合があります。タスクマネージャーやタスクリストなどでtelsmail.exeプロセスが残っている場合は、手動で終了してください。
Outlookを使用する場合のメール送受信ジョブのトラブル
・プロファイルの作成方法が不明Windowsのスタートメニューからコントロールパネルを開き、「メール」アイコンを選択してください。プロファイルを作成するためのダイアログボックスが表示されますので、必要な設定を行ってください。
・プロファイルが正しく作成できない場合
Outlook 2003、Outlook 2007、もしくは32ビット版のOutlook 2010がインストールされているか確認してください。
・メール送信ジョブ、メール受信監視ジョブが意図どおり動作しない場合
1.Outlookが起動出来る事を確認
2.Outlookがシステム規定の電子メールとして設定されているか確認
3.Outlookでメールの送受信が出来る事を確認
4. Outlook起動時およびメールの送受信時にダイアログボックスが表示されないか確認
※表示される場合は、プロファイルの設定を見直してください
上記の手順でトラブルが解消されます。Outlook 2007もしくはOutlook 2003の場合は、起動後のOutlookのウィンドウにツールバーが表示されていることを確認する必要があります。
・メール送信ジョブおよびメール受信監視ジョブが異常終了するエラーコードが表示される場合
下記の一覧より原因を調査し、対応してください。

・送信したメールが送信済トレイに入らず送信トレイに入ったまま、もしくは到着しているはずのメールが受信トレイに入らない場合
Outlook単体でメールの送受信が出来るかの確認。単体で動作しない場合は、プロファイルの設定内容とメールサーバの接続状態を確認してください。
その他のトラブルに関しては、日立の「JP1 Version 10 JP1/Automatic Job Management System 3 トラブルシューティング」をご参考ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。運用監視のミドルウェアであるJP1ですが、必要業務を自動化出来、作業コストの削減・業務効率化が図れます。システムを監視するために必要なミドルウェアです。運用監視と聞くと、「夜勤で辛い」「給料が安い」と思われがちですが、現在では日中は人によって監視し、夜間は自動監視を行っている企業が多くあります。もちろん、エンジニアの為の情報サイト「フリエン」を運営している弊社にも、JP1の案件・求人は豊富にあります。未経験者でも入れる案件・求人もありIT業界の中では敷居が低い方ですので、ご興味がある方は是非一歩踏み出してみてください。今回のコラムでご紹介したトラブルが対応できるようになれば、トラブルシューティングとして仕事の幅も広がし、収入アップのチャンスでもありますので、手始めに覚えやすいものから勉強してみてください。少しでも参考になれば幸いです。
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